ネットショップ開業に役立つ基礎知識!開業手順から注意点まで幅広く紹介

「ネットショップ開業ってどうやってするの?」

「何に注意すればいいの?具体的にどんな準備が必要?」

この記事ではネットショップ開業に役立つ基礎知識を解説していきます。

開業手順から注意点まで紹介しているので、ネットショップ開業を検討している方は是非参考にしてみて下さい。

ネットショップ開業にあたり最低限知っておきたい前知識

ネットショップとは、インターネットを介して商品の売買を行うEC(Eコマース)のお店のことを指します。

実店舗に比べコストを安く抑えられるため、特に個人でビジネスを始めたい人にとっては魅力的な業態と言えるでしょう。

そこでまずはネットショップ開業にあたってかかる費用や、ネットショップの種類について紹介します。

ネットショップ開業にかかる費用

ネットショップ開業にかかる費用は、ショップの規模や目的によって異なりますが、最低10~20万円程度あれば、開業できます。

ネットショップ制作は、無料のサービスを利用すれば費用なしで制作でき、その他梱包資材や撮影機材の用意に費用がかかります。

商品名 費用目安
構築費用無料〜1,000万円程度
PC/スマホ100,000円〜(求める性能やブランドによって異なる)
ネット回線4,000円〜
プリンター40,000円〜(Blutoothやカラー印刷対応可能)
カメラ・照明器具30,000円〜(カメラ)2,000円〜 (照明器具)
画像編集ソフト0円〜
FAX付き固定電話20,000円〜
会計ソフト816円〜(Freeeの場合)
申請手続きの手数料(営業許可申請)販売する商品によって異なる
ドメインの取得料金0円〜
ショップロゴのデザイン費用4,000円〜

【ネットショップの種類】モール型とASP型とは??

ネットショップ開業には大きく分けて以下の2種類の方法があります。

  • モール型
    • Amazonや楽天、Yahooなど1つのECサイトに多数のショップを開業する
    • 元々の認知度から集客力は強いが、手数料が高い
  • ASP型
    • クラウド上で提供されている、サイト構築に必要な機能を備えたシステムを貸りて開業する
    • 安価かつ手軽に構築できるが、集客努力が必要
  • パッケージ・フルスクラッチ型
    • 0からECサイトを立ち上げる
    • ASP型よりもカスタマイズ性が高いが、費用がかかる

それぞれの違いを表で詳しくまとめました。

ASP型(無料)
ASP型(有料)
モール型
パッケージ型
・STORES
・BASE
・Square
など
・MakeShop
・Shopify
など
・楽天市場
・Amazon
・Yahoo!ショッピング
など
・EC-ORANGE
・コマース21
・ecbeing
など
カスタマイズ性
集客力
月額費用
初期費用
手数料

ネットショップ開業するための8つの手順

ネットショップ開業までには以下の7つのステップがあります。

  • 商品やコンセプトなどの事業計画を立てる
  • ネットショップでの販売可否の確認
  • 必要な届け出・許可の確認
  • 商品の仕入れ先・方法を決める
  • 出店方法を決める
  • ネットショップのサイト制作を行う
  • 各種必要な手続き(届け出申請など)を行う
  • ネットショップの運用を開始する

それぞれの工程を詳しく見ていきましょう。

KPIなどの具体的な事業計画を立てる

まず初めに、ネットショップの事業計画を立てましょう。

事業計画がないと、時間とコストを無駄遣いしてしまったり、うまく拡大できなかったりしてしまいます。事業計画を立てるうえでは、3Cの観点で考えることが重要です。

まずは消費者。商品を買ってくれる人がどのような人で、何を求めているのかを調査します。

次に市場や競合状況。どのようなネットショップでどのように出品されているのかを把握したうえで、どう差別化をするかをユーザーニーズをベースに考えます。

3Cの観点で方針を決めたら、具体的なKPIを設定していきます。

「ネットショップの売上」がゴールだとした場合、セッション数や購買率がKPIになります。売上を分解し、どの指標をどこまで伸ばせばいいのかを明確にしましょう。

  • 事業計画とはKPIの集合体というからには、KPIの立て方についてもっと詳しく知りたい
  • 調査の方法の具体がかかれているが、何を調査するのが重要なのかの前提情報がほしい(し、どの調査方法が結局いいのかわからない)
  • 競合の観点がないので事業計画としては不十分

事業計画を立てる際の市場調査方法の例

  • アンケート調査・・・あらかじめ作成した調査票に回答してもらう方法
  • インタビュー調査・・・調査対象者にインタビューをし情報を集める方法
  • エスノグラフィ(行動観察調査)・・・自宅や職場などを訪問し、商品を使っているところや生活そのものを観察し調査する方法
  • ソーシャルメディア分析・・・SNSで自社や競合、あるいは業界全体についてどのような投稿があるか調べる方法など

このような調査した上で売れるために求められているニーズを洗い出し、運営方針を決定しましょう。

ネットショップの出店方法を決める

数値的な目標を立てた後は、その目標を達成するために最適な出店方法を検討しましょう。出店方法の決定も事業計画の段階で行っておきましょう。

出店方法は以下の2つです。

  • モール型ECサイト内での出店・出品
    • プラットフォームに多くの人が集まるため集客に苦労しない
    • 商品登録のみで手軽に始められるが、手数料は高い
    • 早期に売上を立てたいという方におすすめ
  • 自社でネットショップを構築
    • サイトデザインを自由にカスタマイズできる
    • 初期は集客力が弱い
    • コストを抑えたい・デザインや仕様を作りこみたい方におすすめ

できるだけ初期費用を抑えることを優先するのか、デザインやサイト構築にこだわることを優先するのかなど、何を第一に考えるかによって選ぶべき出店方法は異なります。

ご自身の事業計画に沿った方法を検討しましょう。

ネットショップでの販売可否の確認

ネットショップには販売が禁止されている商品が存在しています。自身の計画している商品が販売できるものかどうかはあらかじめ確認しておきましょう。

◆ネットショップでの販売が禁止されている商品の例

  • 法律で規制されているもの(薬物、医薬品など)
  • 犯罪に使用される恐れのあるもの(銃、刀剣類など)
  • 公序良俗に反するもの(アダルト商品、児童ポルノに関するものなど)
  • 悪用の危険性があるもの(免許証、パスポートなど)
  • 譲渡が禁じられているもの(銀行口座、クレジットカードなど)
  • 第三者の権利を侵害する恐れがあるもの(特許権、意匠権など)
  • 利権を侵害しているもの(模倣品、偽ブランド品など)
  • 期限切れのもの(賞味期限切れの食品、使用期限の過ぎた化粧品など)
  • 射幸心を煽るもの(賭博、富くじなど)
  • 金融商品に関連する情報商材(株式投資やFXに関する情報など)

上記は一部であり、この他にもネットショップでの販売が禁止されているものはたくさんあります。

ネットショップ作成サービスなどの利用をする際は事前に「利用規約」を確認しましょう。

商品の仕入れ先・方法を決める

商品のコンセプトや事業計画が固まり次第、最適な仕入先の選定をしましょう。

主な仕入れ方法は以下の通りです。

  • 仕入れサイトの利用・・・問屋とネットショップなどを運営する小売業者をつなぐインターネット上のウェブサイトから仕入れる方法。コストを減らしたい方や商品探しの手間を省きたい方におすすめ。
  • 問屋と交渉する・・・問屋という販売の仲介業者を通して仕入れをする。卸価格で仕入れたい方や一度に大量の仕入れをしたい方におすすめ。
  • メーカーと交渉する・・・商品を生産するおおもとのメーカーから仕入れる。メーカーと直接仕入れたい場合は、社会的信用度が高いほうが実績として有利。安定した仕入れをしたい方におすすめ。
  • 海外から仕入れる・・・海外の通販サイトなどを利用し、商品・材料を仕入れる。商品展開で他社と差別化を図りたい方や高い利益を見込みたい方(商材による)におすすめ。
  • 見本市に参加する・・・商品の見本をもとに商品の売買交渉を行う市で、年に複数回、商品や業界ごとに行われる大規模なイベントに参加し、仕入れる。商品を実際に目で確かめたい方におすすめ。

これらのほかにも様々な仕入れ方法がありますが、各仕入れ方法により留意しておくべきことがあります。

例えば、仕入れサイトを利用する際は価格競争がつきものであることや、メーカーとの直接交渉は断られる場合のほうが多いなど。

それぞれの留意点を踏まえて、それでも最適だと思う仕入れ方法を決定しましょう。

必要な届け出・許可の確認

取り扱う商品によっては、事前に届出や許可申請が必要な場合があります。

無許可で販売した場合、罰を科せられることもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

以下の表は届け出や許可申請が必要な商材の一部です。

商品ジャンル 商品例 届出・許可 申請・取得方法
食品類・食肉販売
・集乳業
・菓子製造業
など
・食品衛生責任免許
・食品衛生法に基づく営業許可証
所轄の保健所に申請
酒類・クラフトビール
・日本酒
・ワイン
など
・酒類製造免許
・酒類小売業免許
・通信販売酒類小売業免許
所轄の税務署に申請
化粧品・パック
・ファンデーション
・口紅
・香水
・石けん
・歯磨き粉
など
・化粧品製造業許可
・化粧品製造販売業許可
都道府県の保健所
または薬務課・薬事課に申請
中古品・中古品
・アンティーク品
など
・古物商許可証所轄の警察署(防犯係)に申請
管理医療機器・コンタクトレンズ
・家庭用マッサージ機器
など
・管理医療機器販売業
・賃与業届書
所轄の保健所に申請

他の商材にも届出や許可申請が必要なものも沢山あります。必ず事前に調べておきましょう。

ネットショップのサイト制作を行う

自社でネットショップのサイト制作を行う場合、利用するサービスによって異なりますが、一般的には以下の工程が必要です。

  • デザイン設計

⇨商品をどのように見せるか、掲載する情報の内容、ページコーティングなど

  • 決済方法の選定

⇨電子決済、クレジット決済、コンビニ後払い、代引きなどどこまで対応するか

  • 商品登録

⇨商品名称、価格、商品の説明文、在庫数の登録など

  • オープン前のテスト

⇨レイアウト崩れはないか、情報に誤りはないか、フローに不具合はないかなど

また、サイト制作にかかる準備期間には余裕を持っておきましょう。

目安として一般的なサイトは1~1か月半、ECサイトの場合は3~4か月ほどかかります。

自社で1から構築する場合や、デザインにこだわりのある方は余裕を持ち半年ほどの準備期間を用意しておきましょう。

各種必要な手続き(届け出申請)を行う

いよいよ開業の準備が整いましたが、開業の前に各種必要な手続きをしておきましょう。

一般的に必要な手続きは以下の2つです。

  • 個人事業主の開業届の提出
  • 確定申告(青色申告)の提出

【個人事業主の開業届】

開業届とは、事業の開始を税務署に知らせる届出のことです。

提出期限は事業開始から一か月以内と定められていますが、届出は義務ではないので罰則があるわけではありません。

しかし、社会的信用や確定申告の際に「青色申告特別控除」を適用できることで節税にもつながるため、提出しておくのが良いでしょう。

必要書類は最寄りの税務署で受け取るか、以下のサイトからもダウンロードできます。

国税庁:個人事業の開業・廃業等届出書

【確定申告(青色申告)】

開業届と同時に提出しておきたい書類が、確定申告(青色申告)の届出です。

売上から経費を引いた利益(所得)が20万円以上の場合は原則として確定申告が必要です。業務開始日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出しないと当該年度の控除を受けられないため注意しましょう。

税庁がWeb上で提供している「申告書作成コーナー」や、市販のソフトウェアなどを利用し作成、専用スマホアプリから提出可能です。

ネットショップの運用を開始する

開業までの道のりで力が尽き、運用後にサイトを放置することのないようにしましょう。

開業しただけでは売れないということは大前提として、最低限以下のような作業は継続的に行っていきましょう。

◆商品管理・・・受注、売上、在庫、梱包・発送などの管理

⇨手作業の場合はミスやトラブルにつながりやすく人件費もかかるため、管理システムを利用するのが良いでしょう。

◆SNS集客・・・ネットショッピングを活発に利用する若い世代にアピールするには、この年代の人たちが日々利用しているSNSで集客をするのが効果的です。

⇨以下はSNS集客の例です。

  • キャンペーンの開催⇨写真コンテストを実施し、UGCや話題性を獲得する
  • ライブコマース⇨ライブ配信を通して商品やサービスを紹介し、ECサイトへ誘導/購入につなげるなど

◆クーポン発行・・・会員登録・レビューをしてくれた謝礼や、記念日、初回限定など都度クーポンを発行すると集客の強化や売上向上を見込めます。

◆商品開発・・・自社のコンセプトに合った商品、トレンドにのっている商品、他社と差別化のための商品を企画・開発するスキルが必要です。

開発するためには日々、顧客データや競合の調査を行っていきましょう。

ネットショップの開業における注意点

ここまでネットショップ開業までの流れを説明してきましたが、ネットショップの開業にあたり、以下の点には特に注意しましょう。

  • 特定商取引法に基づく表記
  • セキュリティ対策をしっかりする 
  • 輸入関税にも注意する

特定商取引法に基づく表記

通信販売独自のトラブルから消費者を保護するため、「必要的記載事項」を表示することが義務付けられています。そのため、「特定商取引法」に基づく表示のページを用意するのが一般的です。

表記しなければ、規定違反となり最悪の場合業務停止命令が下されることもあるため必ず記載しましょう。

▼必要的記載事項の例

事業者名/所在地/連絡先/商品等の販売価格/送料などの商品代金以外の付帯費用/代金の支払時期/代金の支払方法/商品等の引き渡し時期/返品の可否など

セキュリティ対策をしっかりする

ネットショップでは、顧客の個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策が不可欠です。

個人情報が漏洩してしまうと顧客からの信頼が無くなり、顧客離れの原因となります。万が一のリスクに対する認識は別物と考えましょう。

あなた個人と、顧客情報や不正ログインによる損害リスク(お金)は同等ではありません。

  • パソコンは最新のバージョンを保つ
  • 事業用パソコンには有料ウイルス対策ソフトを導入する
  • パスワードの二段階認証導入

などセキュリティ対策は常に行いましょう。

輸入関税にも注意する

商品や材料を輸入する場合、関税と言われる税金がかかります。

「商品の課税価格×関税率」により決まりますので価格が高い商品ほど、あるいは関税率が高い商品ほど、納める関税の額が大きくなるということを認識しておきましょう。

ネットショップの場合は販売目的の仕入れであることから、少量からでも小口輸入となり、少しでも関税を安くしようとして、「個人輸入」で購入したものを販売すると、法律に抵触し罰せられます。

国や品目によって税率や課税されるかが異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

▼主な商品の関税率の目安(財務省関税局)

上記はネットショップを開業する際に注意すべき点のごく一部です。

他にも多岐にわたり注意しながら営業していかなければならないことを忘れないようにしてください。

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