インフルエンサーマーケティングとは?メリットデメリットと成功事例

インフルエンサーマーケティングとは、SNS上で影響力を持つインフルエンサーに商品やサービスのPRをしてもらい、消費者の購買意欲や行動を促進させるマーケティング施策です。

この記事では、インフルエンサーマーケティングのメリットデメリットや成功のポイントを事例を交えてご紹介します。

実際にインフルエンサーマーケティングの支援をしているTalenTokのノウハウを盛り込んで解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

インフルエンサーマーケティングとは?消費者の購買活動に影響を与える手法

インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つインフルエンサーに商品やサービスのPRをしてもらい、消費者の購買意欲・行動を促進させるマーケティング手法です。

スマートフォンやインターネット、SNSの普及によって、従来のテレビCMや新聞雑誌など企業が発信するPR以外にもたくさんの情報を仕入れられるようになりました。

特にSNS上での口コミを重視する傾向が強まってきており、自身と趣味嗜好が似ている、もしくは憧れのあるインフルエンサーが発信する情報の信頼感が高まっているのです。

そもそもインフルエンサーとは?

インフルエンサーとは、影響や勢力といった意味を持つinfluenceが語源で、人の思考や行動に影響を与える人物のことを指します。

直近では、TwitterやInstagram、YoutubeなどのSNS上で消費者に影響を与える人物を指すことが多いです。

インフルエンサーはフォロワーの数によって、下記4つの種類に分けられます。

  • トップインフルエンサー:100万フォロワー以上
  • ミドルインフルエンサー:10万フォロワー以上
  • マイクロインフルエンサー:1万フォロワー以上
  • ナノインフルエンサー:1万フォロワー未満

フォロワーが増えれば増えるほどリーチできる人数は増え、トップインフルエンサーにもなると一つの発信で多くの人の認知につなげられます。

一方でマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーはフォロワーとの距離が近いため、フォロワーのエンゲージメントが高い傾向にあります。関係性が近いからこそ、発信への信頼や共感が強くSNSのシェア率も高くなるのです。

関連記事:「マイクロインフルエンサーとは?定義や費用・探し方などまとめて解説

インフルエンサーマーケティングの市場規模と今後

サイバー・バズ社の調べによると、2020年のインフルエンサーマーケティングの市場規模は317億円で、前年比105%と堅調に推移しています。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、広告予算を削減している企業もあることも踏まえると、インフルエンサーマーケティングに積極投資する企業が増えていると言っても過言ではありません。

インフルエンサーを支援する企業が増えたり、企業でインフルエンサーを活用する機会が増えたりすることによって、2025年の予測は723億円と今後も拡大していくと予測されています。

グラフを見てわかる通り、媒体の中でも規模が大きいのはYoutubeとInstagram。利用者が多いため影響力が大きく、活用している企業が多いです。最近では、急激に利用者が増えているTikTokも注目を集め始めています。

インフルエンサーマーケティングの主な施策

インフルエンサーマーケティングは下記のような施策があり、目的に合わせて使い分けるのが一般的です。

  • ギフティング
    • インフルエンサーに商品やサンプルを送付し、体験・利用した感想をSNSに投稿する。通常の投稿に加え、ライブコマース形式で商品紹介をしてもらうケースがある。
  • 現地訪問
    • インフルエンサーを店舗やイベントに招待し、現場の様子をSNSで発信してもらう。
  • 商品監修
    • 商品の監修やコラボアイテムの共同製作を行う。(制作後はインフルエンサーからも発信してくれるケースが多い)
  • アンバサダー
    • 長期的なパートナーシップを結んで、商品やブランドの魅力を発信してもらう。

関連記事:「ギフティングとは?インフルエンサーマーケティングにおける意味と実施方法

インフルエンサーマーケティングのメリット

インフルエンサーマーケティングのメリットは下記6つです。

  • 企業発信のコンテンツよりも広告感が強くなく、受け入れられやすい
  • インフルエンサーの発信はわかりやすく、商品サービスの魅力が伝わりやすい
  • ジャンルに合わせたターゲティングがしやすい
  • 店頭やオンラインでの販売促進につながる
  • インフルエンサーの発信が拡散されるとより多くの人に情報を届けられる
  • SEOの強化につながる

それぞれ詳細を解説していきます。

企業発信のコンテンツよりも広告感が強くなく、受け入れられやすい

企業発信の情報はどうしても伝えたい情報に寄ってしまう傾向があり、直近ではそうした広告感の強い発信を嫌うユーザーも増えてきています。

インフルエンサーは消費者視点で発信してくれるため、ユーザーからの信頼度が高くなりやすい傾向にあります。またインフルエンサーを信頼・共感しているからこそフォローしているのであり、そうした点でも発信が受け入れやすいと言えるでしょう。

実際、SHIBUYA109 lab.の調査によると、SNSや動画配信サービスで情報収集をする際に参考にする情報源の1位は、「インフルエンサーの投稿」で、ブランド公式による投稿よりも影響力があることがわかっています。

インフルエンサーの発信はわかりやすく、商品サービスの魅力が伝わりやすい

インフルエンサーの発信はわかりやすく、商品サービスの魅力が伝わりやすいというメリットもあります。

インフルエンサーが紹介する商品を購入する理由の調査で1位は「インフルエンサーの紹介がわかりやすいから」という結果が出ています。インフルエンサーはフォロワーをのばすために創意工夫をしているため、ユーザー視点に立ってわかりやすいコンテンツを作る力にたけているのです。

特にコスメやグルメ、旅行など特定のジャンルに特化したインフルエンサーの場合、ユーザーや商品への理解が深いため、他商品と比較した専門的な意見やFBを提供してくれます。

時には企業側が気づかなかった活用方法や新たな訴求を生み出してくれることもあるようです。

商品・サービスジャンルに合わせたターゲティングがしやすい

インフルエンサーは旅行・美容系などジャンルに特化しているケースが多く、当然フォロワーもそのジャンルに興味関心のある人が集まっています。

そのため自社商品のジャンルに近いインフルエンサーに依頼できれば、ターゲットユーザーに効率よくメッセージを届けることができます。

なお同じ化粧品ジャンルに特化したインフルエンサーにも、メイク動画が得意な人と、商品レビューが上手な人などに分かれるため、何をどのように伝えたいかによっても選定するインフルエンサーを変えるとより効果的な成果を得られるでしょう。

店頭やオンラインでの販売促進につながる

昨今ではSNSをきっかけに商品購入につながるケースが増えており、インフルエンサーマーケティングを実施することで店頭やオンラインでの販促につながります。

アライドアーキテクツ株式会社の2020年の調査によると、SNSの情報をきっかけに商品購入をしたことがある人は3割を超えています。

また購入に至る人の中で、インフルエンサーの投稿がきっかけになった割合は10%前後と、インフルエンサーの発信がSNS上での商品購買においてインパクトのある施策であることも分かります。

インフルエンサーマーケティング施策の実施が売上につながるという理解が広がってきたため、施策実施自体が店頭の販売箇所の交渉材料にもなっています。実際ご支援したクライアント企業の中にも「来月●●という施策を実施予定なので」と伝えたことでメインの棚に置いてもらえた事例も存在します。

インフルエンサーの発信が拡散されるとより多くの人に情報を届けられる

インフルエンサーマーケティングの企画次第では、ユーザーのシェアや切り抜きによって想定していたよりも多くの人に情報を届けられるメリットもあります。

いい部屋ネット(大東建築リーシング株式会社運営)で人気インフルエンサーの@小豆さんと東海オンエアのりょうさんを起用し、「踊ってみた動画」を配信したところ、視聴回数230万回再生を記録。

動画の告知をTwitterは3,000回以上リツイートされ、動画の切り抜きやキャプチャ画像も拡散されたため、インフルエンサーのフォロワー以外にもアプローチできました。

SNSはもともと拡散されやすい媒体として知られていますが、投稿されたコンテンツをもとに2次・3次拡散にもつながるため、大きな影響力があるといえるでしょう。

SEOの強化につながる

Googleが検索結果の表示順位を決定する要素に「サイテーション」があります。

サイテーションとは、企業名や商品サービス名がSNSなどで言及されることを指し、より多く言及されることで専門性や権威性があると判断され、SEOにいい効果をもたらします。(被リンクと異なり、リンクを設置されなくてもSEO効果があります。)

また「商品・サービス名」の検索回数もSEOに影響があるとされており、SNSで認知した商品やサービスをGoogleで検索してもらうと、検索順位が向上することにもつながるのです。

インフルエンサーマーケティングのデメリットと注意点

インフルエンサーマーケティングにはメリットもある一方でデメリットもあります。

  • ステマなどの炎上リスクがある
  • インフルエンサーとの調整コストがかかる場合もある
  • 選定するインフルエンサーによっては費用対効果が合わないこともある

ステマなどの炎上リスクがある

インフルエンサーマーケティングは、消費者に宣伝広告であることを隠してプロモーションを行う「ステルスマーケティング」だと受け取られてしまい、炎上につながってしまうリスクがあります。

実際に起こった炎上事例に、2019年に公開された「アナと雪の女王2」があります。

映画公開後に7名の漫画家がTwitterで感想漫画を投稿。PR表記がなかったためステルスマーケティングを疑う指摘が相次ぎました。その後、12/5にウォルト・ディズニー・ジャパンは報酬が支払われたうえでのマーケティング施策であったことを認めて謝罪しました。

参考:なぜ「アナ雪2のステマ騒動」は起きたのか

もしステマであることが発覚すると、ユーザーは騙されたと感じてその商品への信頼が失われてしまいます。また最悪の場合、該当商品だけでなくほかの商品にまで影響が出る可能性もあります。

もしインフルエンサーマーケティングを実施する際は、PR表記をしっかりつけるなどの注意が必要です。

関連記事:「ステルスマーケティングとは?ステマ疑惑事例を参考に意味やリスクを徹底解説

インフルエンサーとの選定に時間がかかる場合がある

インフルエンサー選定には想定以上に時間がかかるデメリットがあります。

商品の特性にもよりますが、インフルエンサーに案件を引き受けてもらえる確率は商品提供のみで5~10%、インフルエンサーへの報酬ありでも10〜15%程度です。

例えば3名のインフルエンサーと契約をしたい場合、30〜60名をリストアップし、個別連絡を取らなければなりません。

選定の際には、インフルエンサーと商品の親和性やフォロワー数、過去の投稿の質などチェックすることがたくさんあるため、かなりの時間を要します。

選定するインフルエンサーによっては費用対効果が合わないこともある

インフルエンサーによっては、商品紹介や動画の質が低く、本来期待していた効果を得られない可能性があります。

インフルエンサーマーケティング施策を実施する場合、何をどうやって発信するかを完全に決定することはできず、インフルエンサーに任せることが一般的です。

そのため、コンテンツを投稿しても拡散されなかったり、購買につながらなかったりと期待していた効果を得られないことがあるのです。報酬は投稿ベースで支払うことが一般的なので、結果次第では費用対効果が合わないケースもあり得ます。

インフルエンサーマーケティングの成功事例

インフルエンサーマーケティング施策の成功事例をSNS媒体ごとに分けていくつか紹介します。

TikTokでアイメイクの動画を投稿し潜在層へアプローチした事例

株式会社クラブコスメチックスは2021年の7月にリリースしたブランド「DAISYDOLL」を、TikTokを活用したインフルエンサーマーケティングの施策を実施。新ブランドだったため、口コミ数もすくなく認知に課題があったため、認知拡大をメインの目的にしました。

DAISYDOLLのターゲットは、メイク初心者や化粧に興味を持ち始めた若い女性のため、SNSの中でも潜在層へのアプローチに強いTikTokを活用。インフルエンサーの方を選定する際は、アイメイクを中心に、HowTo動画やbefore/afterを投稿している人をピックアップし、分かりやすく魅力を訴求してくれるかどうかを重視しました。

@sinyamon 1本に2色セットされたダブルカラースティックで時短メイクにオススメ〜❕💞 #DAISYDOLL#デイジードール#MARYQUANT#新作コスメ#コスメ紹介#提供 ♬ GAME OVER - Sooda

結果的に、TIkTok上で「#デイジードール」の検索数が増え、「この動画を見ながらアイメイクを試してみたい」というコメントも多数寄せられ、商品サービスの認知拡大に大きな影響を与えた施策になりました。

目的やターゲットに適切なインフルエンサーやプラットフォームの選定ができたことが一番の成功要因と言えるでしょう。

関連記事:認知拡大に成功した支援事例|潜在層向けの「わかりやすいPR」とは?

前月比売上が2倍?PR動画を活用して店頭売れを実現した韓国コスメの成功事例

韓国コスメ「espoir」の認知拡大をするために、インターナショナルコスメティックス株式会社はインフルエンサーマーケティング施策を実施しました。

商品の特徴や使用感、購入可能な場所などプロモーションとして必要な情報は入れつつも、ユーザーが飽きないコンテンツを意識。パッケージ紹介のみ、メイク中の顔がずっと映るような単調な動画にならないようにしたところ、動画の再生数は100万回を突破しました。

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また店頭でTikTok動画をサイネージで展開する施策も同時に行い、店頭でもユーザーの目に留まるように工夫。

その結果、店頭の売上を前月比で2倍以上にアップし、インフルエンサーマーケティング施策によって認知と購買促進の両方に成功できました。

関連記事:「認知拡大だけじゃない?SNSプロモーションで店頭の販売促進も実現した支援事例

ファッションコーディネートをInstagramインフルエンサーが投稿して成功した事例

ファッションブランド「ファッションセンターしまむら」は「プチプラのあやの」さんとコラボしてインフルエンサーマーケティング施策を実施しました。

プチプラのあやのさんはフォロワー52万人のインスタグラマーでプチプラに関する投稿をメインにしています。下記の投稿では、前進1万円以内という条件でしまむらの洋服を活用したコーディネートを披露。

値段も記載しておくことで、商品検討がしやすいように工夫しています。

この投稿は7,400いいねを獲得し、コメントでも「近々探してみようと思っています」「Gデニムビックの品番を教えてください」など商品購入を示唆するような内容が多くありました。

Youtubeで旅行ツアー動画でリアルな雰囲気を伝えた事例

「スーツ旅行」さんと伊勢原観光協会がタイアップし、大山の魅力をYoutube動画でPRしました。

「【宿坊に泊まる】ロマンスカーで行く大山1泊2日旅行」という動画は約1時間弱の動画で、大山のツアー紹介をしています。観光スポットごとに実際に行って体験してみた感想をわかりやすく解説しています。

動画は56万回再生(2023年1月時点)され、コメントでも「初めて知ったけど行ってみたい」「前から気になってたから行ってみようかな」といった好意的な内容が多く寄せられました。1時間弱の長尺動画にもかかわらず、「面白くて最後まで見てしまった」という声も多数。

ツアー旅行への参加を検討している方はパンフレットなどの情報だけでは伝えきれないリアルな雰囲気を伝えることで、ツアー参加への熱量をあげることができるのです。

Twitterで料理家インフルエンサーとタイアップし家て商品アレンジ企画に成功した事例

雪見大福を販売するロッテは、「雪見だいくふう」というキャンペーンとともに、簡単・爆速レシピで知られる料理研究家の「リュウジ」さんとコラボし、インフルエンサーマーケティング施策を実施しました。

キャンペーンは一般人から雪見だいふくのアレンジレシピの応募を募るもの。そのキャンペーン初日にリュウジさんがライブ配信をして雪見だいふくのアレンジレシピに挑戦しました。動画は14万人以上の視聴者を集め、大反響でした。

またその後も「無限雪見だいふく」と称して冷蔵庫に雪見だいふくが大量に入っている画像をツイートし、1.2万いいねを獲得しました。

アレンジレシピ企画は一般的になってきましたが、こうしたインフルエンサーとコラボすることで、キャンペーン企画を加速させることができました。

インフルエンサーマーケティングを失敗しないためのポイントと注意点

インフルエンサーを成功させるためには下記4つのポイントが重要です。

  • SNSの特性を踏まえて媒体を選定する
  • 目的やターゲットを明確にする
  • ほかのマーケティング施策と一貫した設計をする
  • 適切なインフルエンサーをキャスティングする

SNSプラットフォームごとの特性を踏まえて媒体を選定する

SNSはプラットフォームごとに異なる動機を持ったユーザーが利用しており、使い方や心理状態もさまざまです。そのためそれぞれの特性を理解したうえで、目的に沿ったプラットフォームを選定することが大切です。

下記に簡単にそれぞれのプラットフォームごとの特徴をまとめました。

ユーザー数主なユーザー特徴と商品相性
Youtube6,500万10~50代男女長編動画によって深い商品理解ができるため、家具や家電などの高単価商品と相性がいい
Instagram3,300万20~40代女性多め美容・ファッション系コンテンツを求めるユーザーが多く、購入単価が高くないコスメやアパレル商品と相性がいい
Twitter4,500万10~40代男女静止画でも魅力が伝わるグルメ系と相性がよく、RT機能による拡散力が強い
TikTok1,750万10~20代美容系と相性が良く、レコメンド機能が強いため潜在層へのアプローチがしやすい

SNS媒体ごとの特徴は記事の下部でまとめていますので、興味のある方はご覧ください。

目的やターゲットを明確にする

インフルエンサーマーケティングをただ実施するだけになってしまうと、失敗につながってしまうため、目的やターゲットは最初にしっかり決めておきましょう。

インフルエンサーマーケティングには大きく、認知拡大・販売促進の2つの目的が存在します。自社商品サービスの現状の課題は何で、どちらを目的にするのか次第で、キャスティングするインフルエンサーや利用するSNS媒体も異なります。

例えば、認知拡大が目的の場合はフォロワーが多いインフルエンサーに依頼しますが、購買促進が目的の場合はフォロワーが少なくてもユーザーエンゲージメントが高くなりやすいインフルエンサーに依頼したほうが効果的なケースもあります。

目的やターゲット選定が不安なら、代行会社に相談してみるのも一つの手です。

ほかのマーケティング施策と一貫した設計をする

SNS施策はほかのマーケティング施策と別で考えられがちですが、ほかのマーケティング施策と一貫して設計をすることが重要です。

例えば、インフルエンサーマーケティング施策をSNS出やる場合、店頭でもインフルエンサーのポップを用意したり、Web広告で告知をしたりなどの施策が考えられます。

SNSプロモーションの効果を最大化させるためには、最終購入から逆算し、一貫した施策設計が必要なのです。

適切なインフルエンサーをキャスティングする

インフルエンサーマーケティング施策を実施する際は、フォロワー数だけでインフルエンサーを選んではならず、下記2つの点を意識しましょう。

  • 商品ブランドとインフルエンサーの親和性
  • 投稿の平均エンゲージメント(いいねや保存数など)

商品ブランドとインフルエンサーの親和性

一番大事なのは、インフルエンサー(及びそのアカウント)と商品サービスブランドの親和性です。

通常と異なるジャンルの投稿をしてしまうと、いくらフォロワー数が多かったとしても動画の再生回数は伸びません。

グルメ系インフルエンサーのフォロワーはグルメの情報が欲しくてフォローしているため、当然ファッション系の発信には興味がありません。また化粧品・コスメジャンルであったとしても、20代のフォロワーが多いインフルエンサーと30代のフォロワーが多いインフルエンサーでは求める情報が異なります。

属性を細かく切り分けて自社サービスとマッチするかをよく確認しましょう。

投稿の平均エンゲージメント(いいねや保存数など)

次に重要なのが投稿の平均エンゲージメント。

フォロワーが多かったとしても、投稿したコンテンツを見てくれなかったり、途中で離脱してしまっては意味がありません。認知拡大や購買促進など目的を達成するためには、ユーザーからのエンゲージメントを獲得できているかを確認する必要があります。

確認方法は過去の投稿を見てみることがおすすめです。いいね・保存数やユーザーからのコメント内容から、目的に沿ったエンゲージメントを得られるかどうかを確認しましょう。

インフルエンサーのキャスティング方法

インフルエンサーマーケティング実施にあたり、インフルエンサーをキャスティングする方法は下記3つです。

  • インフルエンサーに直接キャスティングを依頼
  • インフルエンサー所属事務所にキャスティングを依頼
  • インフルエンサーマーケティング代行会社にキャスティングを依頼

それぞれ詳細を見ていきましょう。

インフルエンサーに直接依頼

SNSアカウントに直接DMをする、HPから依頼申し込みをするなど企業担当者から直接インフルエンサーに声がけをする方法があります。最近ではインフルエンサー検索サービスなども提供されています。

▼メリット

  • 自社ですべての作業を行い、代行手数料がかからないため費用を抑えられる

▼デメリット

  • インフルエンサーの選定に時間がかかる
  • インフルエンサーキャスティングに失敗する可能性がある

数多くのインフルエンサーの中から、自社の商品に合ったインフルエンサーを探すのは非常に困難なうえ、依頼がすべて承諾されるわけではないため、候補者を多数出して一斉に依頼をしなければなりません。インフルエンサー側もリスクを避けるため、代行会社などを通さないと依頼を承諾しないケースも増えてきています。

また直前にキャンセルをされたり、連絡が取れなくなったりというトラブルもすべて対応しなければならないことを考えると、費用・工数対効果が必ずしも高いとは言えません。

よく知っているインフルエンサーがいる、インフルエンサーマーケティングに精通した担当者がいるという場合を除いてあまりおすすめはできません。

インフルエンサー所属事務所にキャスティングを依頼

インフルエンサーをマネジメントしている事務所・プロダクションにキャスティングを依頼するのが2つ目の方法です。

▼メリット

  • インフルエンサーマーケティング施策に精通している

▼デメリット

  • 所属しているインフルエンサーの中からしかキャスティングができない

企業案件の獲得のしやすさ、トラブルや契約の対応を代わりに行ってくれるというメリットがあるため、マージンを払ってでも事務所に所属するインフルエンサーが増えています。

多くのインフルエンサーを抱える事務所であれば、企業案件を多数担当しており、インフルエンサーマーケティング施策やSNSプロモーションにも精通しています。

しかし基本的に所属しているインフルエンサーの中からしかキャスティングができない点には注意が必要です。仮に目的に合ったインフルエンサーがいない場合でも自事務所以外のアサインはできません。

インフルエンサーマーケティング代行会社にキャスティングを依頼

3つ目にインフルエンサーマーケティングを代行している会社に依頼する方法を紹介します。

▼メリット

  • インフルエンサーマーケティングの成功ノウハウがあり、効果測定までをサポートしてくれる
  • インフルエンサーを抱えているわけではないため、目的に合ったキャスティングをしやすい

▼デメリット

  • 中間マージンが発生するため、費用が高くなりやすい

代行会社は、インフルエンサーの選定やキャスティング方法に詳しく、目的にあったインフルエンサーを短時間でアサインしてくれます。またキャスティングだけでなく、施策の進行管理や効果測定も行ってくれます。

一方で代理手数料がかかるため、費用は多少高くなりやすいというデメリットも存在します。

インフルエンサーマーケティングの実行が初めてでどう進めたらいいかわからない、時間をそこまでかけられないという方におすすめの方法です。

関連記事:「インフルエンサーキャスティングとは?3つの方法や費用、代理会社を紹介

インフルエンサーマーケティング会社(代理店企業)おすすめ3選

おすすめのインフルエンサーマーケティング会社を3つ紹介します。

TalenTok|自社ブランドの事例をもとに費用対効果までコミット

TalenTokは、株式会社iHackが運営するインフルエンサーマーケティング・SNSプロモーションの代理サービスです。

一番の特徴は、自社でSUORUMという化粧品ブランドを展開していること。自社で商品立ち上げから行っているため、商品サービスのフェーズや課題に合わせたインフルエンサーマーケティング施策を熟知しています。

また認知拡大だけでなく、販売促進までサポートを徹底するのも魅力の一つ。

プロモーション=認知拡大が目的で、売上との費用対効果を見ていないケースが多いと言われがちなのがインフルエンサーマーケティングですが、Talen Tokでは自社ブランドの経験からリアルな費用対効果を試算してくれ、「店頭売れ」までコミットします。

Cyber Buzz|SNS運用代行や広告クリエイティブ制作など幅広くサポート

Cyber Buzzlは株式会社サイバー・バズが運営するインフルエンサーマーケティングサービスです。

CyberBuzzはもともとサイバーエージェントの子会社で、SNS運用代行に強みを持っています。パイプを生かして複数の事務所と提携ができているため、多様なインフルエンサーを紹介してもらえます。

またクライアントとインフルエンサーをマッチングさせるNINARYや、商品を試して感想を投稿するRipreなどインフルエンサーマーケティングに付随するサービスも多く存在しています。

UUUM|Youtubeに特化した事務所でSNS運用もサポート

UUUMはUUUM株式会社が運営するインフルエンサー総合支援サービスです。

UUUM株式会社にはHIKAKINさんやはじめしゃちょーさん、Fischer's-フィッシャーズ-といった日本トップクラスのユーチューバーが所属しており、YouTubeを活用したマーケティングに特化しているのが最大の特徴です。

人気クリエイターが手掛ける動画によって訴求力の高いPRを行うことができるのが魅力的です。

UUUMの公開している実績からも、クリエイターを活用したタイアップ動画は、認知、理解促進、購買意欲等のブランドリフトに影響を与えることが可能であることがよくわかります。

関連記事:「インフルエンサーマーケティング会社13選!選び方とタイプ別に特徴を徹底比較

インフルエンサーマーケティングをする前に知っておきたいSNSごとの特長の違い

インフルエンサーマーケティングを実施する際は、SNSごとの違いを知り、適切な媒体を選択する必要があります。ここでは、代表的なSNS媒体の特徴を紹介します。

Instagramは写真がメインのSNSで女性向けの商品におすすめ

Instagramは「写真・動画投稿」を中心としたSNSで、国内3,300万人が利用しています。利用者の属性データを見てみると、10代~30代の女性の利用率が高くなっています。

写真や動画がメイン・女性利用が多いことから、写真で魅力が伝わりやすい「グルメ」「美容コスメ」「ファッション」などのジャンルと相性が良く、良くマーケティングで活用されています。

またインスタグラムならではの機能である「ショッピング機能」によってインスタグラムから直接購買につなげられる点もメリットの一つ。ECサイトがインスタグラムも運用しているケースもあります。

一方でほかのSNSに比べて拡散力が弱いというデメリットもあります。シェア、リツイートなどの機能がInstagramにはないため、より多くの人に見てもらいたいという場合にはほかのSNSなどと併用するなどの工夫が必要です。

TikTokは短尺動画がメインで潜在層にアプローチできる

TikTokは短尺動画をメインとするSNSで、国内1,700万人の利用者がいます。

利用者の属性はZ世代を含めた若年層が中心ですが、2021年時点の利用者の平均年齢は34歳と直近は30~40代の利用者も増えてきました。

TikTokはレコメンドシステムがユーザーの趣味嗜好を学習し、「あなたへのおすすめ動画」として次々に動画が再生される仕組みになっています。ユーザーが能動的に検索して情報収集するTwitterやInstagramに比べて、商品を認知していない潜在層にもコンテンツを届けやすいSNS媒体といえるでしょう。

またその拡散力の強さからTikTokでプロモーションした商品が爆発的に売れる「TikTok売れ」という現象も起こっており、『日経トレンディ2021年12月号』内の「2021ヒット商品ベスト30」特集内では「TikTok売れ」が1位に選ばれるほどです。

一方でコンテンツを検索することが少ないため、過去の動画コンテンツが資産として残らないというデメリットもあります。

Twitterは拡散性・検索性の高いSNS

Twitterは140文字のテキストを中心としてSNSで、国内の利用者数は5,800万人です。

匿名で利用でき、リツイートという機能があるため、拡散力が非常に高いのが特徴です。

またTwitterは情報を検索するという使い方をしている人が多く、利用目的の2番目に「趣味・好きなことに関する情報収集」がランクインしています。

中でも静止画でも特徴が伝わりやすい「グルメ」「美容・コスメ」などを検索している人が多いことがわかっており、相性のいいジャンルと言えるでしょう。

Facebookは公式感を生み出せるSNS

Facebookは実名登録を基本としたSNSで、国内利用者数は2,900万人です。

下記の画像を見てもらえばわかる通り、ほかのSNSに比べて30代以降の利用者割合が多いのが特徴です。

実名登録が基本で匿名性が低いため、企業としての取り組みや姿勢を公式に発信する場として優れているといえるでしょう。

またFacebookページと紐づけるFacebookグループの機能も特徴の一つ。うまく運用すれば顧客との関係性を強めていくこともできます。

一方で拡散性などはほかのSNSに比べて劣るため、Facebookに特化したインフルエンサーはあまりいなく、よほどの利用うがなければ最初に取り組むのはほかのSNS媒体にすることをおすすめします。

インフルエンサーマーケティングに関するQ&A

最後にインフルエンサーマーケティングに関する疑問をQ&A形式で回答していきます。

  • インフルエンサーマーケティングにかかる費用相場は?
  • インフルエンサーマーケティングの効果測定の方法は?

インフルエンサーマーケティングにかかる費用(料金)相場は?

インフルエンサーに依頼する料金は「フォロワー数×フォロワー単価」で算出され、70~100万程度が相場です。

フォロワー単価の相場は、SNS媒体によっても異なり、下記のとおりです。

SNSフォロワー単価相場
Youtube4~5円
Instagram3~4円
TikTok2~3円

フォロワーが10万人のInstagramのインフルエンサーを一人起用するためには、10万×3円=30万円かかります。

インフルエンサーマーケティングの費用に関してもっと詳しく知りたい方は「インフルエンサーマーケティングの費用相場は?算出方法と効果最大化のコツ」をご覧ください。

インフルエンサーマーケティングの分析や効果測定の方法は?

インフルエンサーマーケティングを正しく効果測定をするためには、まず目的に沿ったKGIとKPIを設定しましょう。

売上を拡大したいのか、認知を拡大したいのかによって見るべきKGI/KPIは異なります。

例えばInstagramでインフルエンサーマーケティングを実施する場合、目的が認知拡大と売上拡大で以下のような違いがあります。

  • 認知拡大の場合
    • KGI:ハッシュタグ検索数
    • KPI:インプレッション数(投稿が見られた数)
  • 売上拡大の場合
    • KGI:ECサイトへの遷移数
    • KPI:エンゲージメント(いいねや保存された数)

各プラットフォームごとに分析ツールがあるため、施策実施前後でKGI/KPI数値を比較して効果測定ができます。