近年新たな集客手法を確立するために、SNS公式アカウントの運用を始める企業が増えています。
数あるSNSの中でも、インスタグラムは企業アカウントをフォローする割合が高く、ブランドからのメッセージを届けやすいため、特に注目が集まっています。
しかし、多くの企業が運用のポイントを抑えられておらず、期待した効果を得られていません。
今回は、インスタグラム運用の実績豊富な株式会社サイバー・バズの小島 七海さんにお話を聞いて、運用のコツを網羅的かつ体系的に解説していきます。
これから運用を始めようとしている、運用がうまくいかないというマーケティング担当者はぜひ最後までお読みください。
話を聞いた人
SAC本部アカウントプランニング局 マネージャー
2019年新卒入社。 営業職としてナショナルクライアントを中心に、自社メディアを活用したソーシャルメディアプロモーションの提案営業を行う。2020年上半期営業MVPを受賞。現在はマネージャーとしてアカウント運用に関するプランニングを行っている。
目次
インスタグラム運用を成功させるために知っておきたいフォロワーを増やすサイクル
ただやみくもに投稿をしても期待したスピードでフォロワーを増やすことはできません。
まずは正しいフォロワーの増やし方を見ていきましょう。
インスタグラム運用でフォロワーを増やすサイクル
インスタでフォロワーを獲得するためには、下記のサイクルを回すことが重要です。
- 投稿のエンゲージメントを向上させる(滞在時間を増やす)
- ハッシュタグトップや発見タブに表示されやすくなる
- 投稿がフォロワー以外にもリーチしやすくなる
- フォロワーが増える
フォロワーを増やすためには、フォロワー外のユーザーに投稿を見てもらわなければなりません。
フォロワー外のユーザーに投稿を表示させる手法として有効なのが、「投稿のエンゲージメントを高める」こと。
エンゲージメント=投稿の滞在時間であり、滞在時間が長い投稿程、ハッシュタグ検索のトップや発見タブに表示されやすくなります。
投稿からプロフィールへの導線が適切であれば、徐々にフォロワーが増えていくでしょう。
運用前にインスタグラムのアルゴリズムを理解する
インスタグラムの投稿を上位表示をさせるためには、アルゴリズムの理解が必須です。
2018年くらいまでは投稿された順に表示されていましたが、アルゴリズムが変更されてより各ユーザーにパーソナライズ化され、フォロワーでないアカウントにもユーザーの興味関心に応じて投稿が表示されるようになりました。
現状では表示順の決定において、次の3つのシグナルが重要であるといわれています。
- Interest(関心度)
- アカウントや投稿内容への関心の高さを推測し、関心が高いとみなしたコンテンツを優先して表示
- Relationship(親密度)
- フォロー・フォロワー間の親密度を計算し、より関係が強いユーザーの投稿を上位表示
- 投稿の滞在時間やいいね/コメント/保存数、プロフィール遷移などで計測
- Timeleness(鮮度)
- 新鮮なコンテンツが優先的に表示
以前はきれいな写真の投稿が多く投稿されていましたが、今は滞在時間を増やすために文字が書かれている「マガジン的な投稿」が増えてきています。
インスタ運用の設計のコツ
インスタ運用はどのようなコンテンツでの運営を継続するのかや、目的をしっかり定めてから運用を開始しましょう。
この見出しでは、下記の重要なポイントについて解説します。
- インスタ運用の目的・目標・KPIを明確にする
- ターゲット・コンセプトを決める
- ターゲットやコンセプトに沿った投稿内容を考える
インスタ運用の目的・目標・KPIを明確にする
運用を開始する際は、必ず目的と目標、KPIを明確に決定しましょう。
例えば売上が目的だった場合、関係のないフォロワーを増やせたとしても売上アップにはつながりません。
そのため「何を目標として」、「何を成果とするのか」を明らかにし、そこに紐づいたKPIを設定することが重要なのです。
インスタグラムの場合、KPI指標として「フォロワー数」を置くケースが非常に多いのですが、あまり適切でないケースもあります。
なぜなら現状のアルゴリズムはフォロワーでない人にも投稿が表示されるため、フォロワー数が必ずしも重要にはならないためです。
何を目的とするかにもよりますが、単に「フォロワー数」ではなく、投稿へのエンゲージメント(いいね/コメント/保存数)やフォロワー外アカウントへのリーチ数をKPIに設定すると目的達成をしやすくなることもあります。
また運用を始めたばかりで目標の置き方がわからないという時は、仮で置いて運用を始めてから修正をする形でも問題ありません。
投稿した結果や数値を分析をしながら、PDCAを回していくとよいでしょう。
ターゲット・コンセプトを決める
一貫したアカウント運用をするうえで根幹になるのが「ターゲット・コンセプト設計」です。
まずは自社の商品を購入してくれるユーザー像を固めます。ターゲットを決める際は、下記の観点で設定してみてください。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 趣味嗜好
目標に沿ってターゲットを決めたら、次にそのターゲットに刺さるコンセプトを考えます。
コンセプトは統一感を出すために必要で、「●●と言えば~~のアカウント」とイメージされる状態が理想です。
より良いコンセプトにするためには、下記の観点で考えてみるとよいでしょう。
- 他社と差別化し、自社独自の強みや特徴が反映されているか
- ユーザーニーズとマッチしているか
ターゲットやコンセプトに沿った投稿内容を考える
ターゲットとコンセプトを決めたら、具体的な投稿内容を考えます。
例えば子供がいる主婦をターゲットにし、「困っている主婦をお助けする」というコンセプトだった場合、「毎日のお弁当の内容に困っている」というニーズがありそうです。
そのためおかずや盛り付けのアイデアを紹介するなど、ニーズに沿った投稿をすることで、コンテンツの滞在時間も伸び、結果的にフィードなどに上位表示されやすくなります。
エンゲージメントを高めるうまいインスタ運用のコツ
現状のアルゴリズムでは、エンゲージメントを高めてフォロワー外のユーザーに見てもらうことが重要だと説明してきました。
ここからはエンゲージメント(滞在時間・コメント/いいね/保存数・プロフィールタップ数)を高めていくための具体的な方法を紹介します。
なお目標とすべきエンゲージメント率は、下記のとおりです。業界やジャンルによって異なるため、商材に合った目標を設定しましょう。
インスタ運用のコツ1:ハッシュタグを使いこなす
インスタ運用の基本とも言えますが、ハッシュタグの活用はインスタ運用においてとても重要です。
ハッシュタグ検索で上位表示をさせるために関連性の高いハッシュタグを入れることはご存じの方も多いかと思いますが、重要なのは「ハッシュタグの種類を使い分けること」です。
ハッシュタグは下記3つの種類に分かれます。
- スモールハッシュタグ(検索数1,000以下)
- ミドルハッシュタグ(検索数1000~1万)
- ビックハッシュタグ(検索数1万以上)
ビッグハッシュタグは検索数が多いため、上位表示されればインパクトが大きい一方で、大量のコンテンツの中に自社コンテンツが埋もれてしまう可能性も少なくありません。
そのためミドル・スモールハッシュタグをできるだけ多く掛け合わせて投稿をすることで、投稿を見つけてもらいやすく、且つエンゲージメントが高くなるのです。(※ハッシュタグをつけられる最大は30個まで)
例えばカフェの投稿をする場合、「#カフェ」というビッグハッシュタグだけでなく、「#〇〇カフェ」のようにジャンルや地域を限定したスモール〜ミドルハッシュタグを併用することで上位表示される確率が高まります。
なおハッシュタグは投稿したコンテンツに関連していることが前提になります。
関連性の高いスモール〜ミドルハッシュタグを見つけるには、基本的に目視で確認してピックアップしていきます。
トレンドによって有効なハッシュタグは変わるため、定期的に調べてチェックするのがおすすめです。
目視で確認する時間が取れないという方は、おすすめのハッシュタグを教えてくれる「ハシュレコ」などのツールを使ってもよいでしょう。
インスタ運用のコツ2:UGC投稿にコメントして会話を発生させる
UGC投稿(User Generated Contents)とは、一般ユーザーによって生成されたコンテンツのことを指し、そうした投稿に企業アカウントとしてコメントをすることでエンゲージメントを高めるという方法があります。
まず自分のアカウント名や商品名で検索し、商品について感想を挙げてくれているユーザーを探します。
もし投稿が見つかれば、投稿にいいねをしたり、簡単にお礼コメントをつけたりしてコミュニケーションを発生させます。使用の許可を得たうえで、UGCをリポストする形で投稿するのもよいでしょう。
リアクションに対して相手から反応があれば親密度が上がるため、反響が大きければその分エンゲージメントを高められます。
継続的なコミュニケーションをとることで、利用者をファン化させられることもメリットの一つ。好んで使っている商品の写真をInstagramに投稿したあと、該当企業から反応があれば、より身近な存在として認知され、ユーザーのモチベーションを高められる可能性もあります。
インスタ運用のコツ3:ユーザーとコミュニケーションが取れる投稿にする
投稿方法を工夫してユーザーからのエンゲージメントを高める方法も有効です。
具体的な方法は以下の通りです。
- ランキング投稿やまとめ投稿で滞在時間を伸ばす
- どの商品が好きかを選ばせる「選択式」の投稿にしてコメントをもらう
- ストーリーズでクイズを出題したりアンケートに答えてもらってコメント数を増やす
- キャンペーン開始前に動画を用いた告知をリールで実施し、いいね数を増やす
もちろん挙げた方法以外にも無数に存在するため、ユーザーが思わず反応したくなるような投稿を、日常から情報収集しておくとよいでしょう。
リーチ数を増やすためのインスタグラム運用のコツ
ここまでで「エンゲージメントを高めることがリーチ数を増やすうえで重要」という説明をしてきました。
ここからはエンゲージメントを高める以外で有効な方法をご紹介していきます。
【リーチ数を増やすために有効な方法4選】
- リールを活用する
- 投稿頻度は最低でも週1回以上
- 投稿時間は21時前後にする
- インフルエンサーとコラボする
インスタ運用のコツ1:リールを活用する
リールとは、ショートムービーを作成・編集・投稿できる機能です。
リール動画はリール専用タブのほか、フィードやストーリーなどにも表示できます。
またフォロワー外のユーザーにもリーチできるという特徴があり、動画のジャンルにもよるものの人気な動画であれば数万以上の再生数になることもあります。
そのためリールの活用はリーチ数の獲得に向けて有効で、直近ではリールを積極的に投稿している企業アカウントも増えてきました。
リール投稿の手順は以下の通りです。
- リール作成画面を開く(画面上部の+ボタン→リールを選択)
- 音源・エフェクト・再生速度の設定をする
- 動画の長さを設定(15/30/60/90秒)
- 撮影開始
- カバー写真やキャプションを入力して投稿
人気投稿を見ると今はやりのトレンドや音源がわかるため、リール投稿に取り組む際はぜひ定期的にチェックするとよいでしょう。
またショッピングタグをリールにつけられるのもポイント。リール動画を紹介してそのままECサイトに誘導できるため、EC商材を扱っている方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
インスタ運用のコツ2:投稿頻度は最低でも週1回以上
投稿をたくさんすればするほど、露出が増えるため、フォロワー数や購入数を増やすきっかけになります。
一方で気を付けなければならないのは、投稿数だけを意識して1投稿当たりの質が下がってしまうこと。
ここまででも説明してきましたが、現状のアルゴリズムではユーザーエンゲージメントを高めることが非常に大切であり、投稿の質が下がってしまうと思うようにフォロワーが増えていきません。
できれば毎日投稿することが望ましいですが、投稿の質が下がってしまうようであれば、頻度を減らし、週1回以上くらいの頻度を保つようにしましょう。
インスタ運用のコツ3:投稿時間は21時前後にする
アクティブなユーザーが多い時間帯に投稿をすることで、ユーザーのエンゲージメントを高めやすくなります。
もっともアクティブユーザーが多いのは21時前後と言われており、その時間帯に合わせて投稿を準備するとエンゲージメントも高まりやすくなります。
ただしターゲット属性によっては必ずしも21時が良いわけではありません。
例えば、子育て層であれば子供がいる夜よりも幼稚園や小学校に送り出した後の平日ランチタイムのほうが見てもらいやすい可能性もあります。
PDCAを回しエンゲージメントの分析をしながら運用を行うとよいでしょう。
インスタ運用のコツ4:インフルエンサーとコラボする
フォロワー数が少なくてもリーチ数を増やす有効な手段に「インフルエンサーとのコラボ」があります。
現在主流なのは、インフルエンサーに商品サンプルを渡して使用感を投稿してもらう施策。本来アプローチすることができないインフルエンサーのフォロワーにもリーチすることができます。
また単純にリーチ数を伸ばせるだけでなく、宣伝っぽさなく商品をアピールできるというメリットもあります。広告への嫌悪感を感じているユーザーも少なくない中で、消費者の代表としてインフルエンサーが使用感を投稿すると、企業アカウントでの発信よりも商品を受け入れられやすいのです。
インサイトを使ってインスタ運用のPDCAを回す
インサイトとは、インスタグラムが公式に提供している分析ツールで、2016年の夏からビジネスアカウントでのみ利用できるようになりました。自社アカウントのフォロワー数の推移や男女比、年齢構成など詳細情報を知ることができます。
投稿ごとの効果も見れるため、Instagram運用の戦略/戦術を検討するうえで利用必須と言えるでしょう。
【インサイトで閲覧できる3つの項目】
- コンテンツ:各投稿に関する数値
- アクティビティ:アカウント全体に関する数値
- オーディエンス:フォロワーに関する数値(フォロワーが100名以上にならないと閲覧不可)
インサイト機能を利用して分析をする際は、下記の流れで行うことをおすすめします。
- アカウントの現状確認
- KGI/KPIとの乖離や問題点の洗い出し
- 問題点の要因分析と改善施策の設定
- 改善策に合わせて投稿を実施し、インサイトで再度効果を確認
例えば、1投稿当たりのいいね数が思ったよりも伸びないことをインサイトで確認した場合、「投稿日時が良くない」「投稿内容がユーザーニーズに沿っていない」など複数の要因が考えられます。
それぞれに対して改善策を考え、一つずつ実施していくイメージです。
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ここまでInstagram運用のコツやポイントをご紹介してきました。
- 集客を効率よくしたいけど、人員が足りない
- 成功/失敗事例やノウハウをもっと知りたい
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