「アンバサダーマーケティングとは、どんなPR方法なのか?」
「自社でも活用できるか知りたい。」
アンバサダーマーケティングとは、かつてから商品への思い入れが熱いアンバサダーが、広告感が少なくユーザー目線で、商品の情報を伝えるというPR方法の1つです。
この記事では、インフルエンサーマーケティングと比較しながらアンバサダーマーケティングの概念の説明や、メリット・デメリット、運用方法などをご紹介します。
目次
アンバサダーマーケティングとは?
アンバサダーマーケティングとは自社商品やサービスを愛用しているユーザーを企業が「アンバサダー」と認定し、アンバサダーのSNSアカウントで商品の感想などを発信することです。
企業と一緒にPR活動を行う他、1ユーザーとしての意見を活用し商品開発なども行っていきます。
すでに商品に対して、興味関心、愛情や熱量を持つユーザーが行うことで、商品の特徴を活かした効果的な企画考案をしてくれるため、ユーザーにより購買意欲を高めるPR活動が可能です。
アンバサダーマーケティングとインフルエンサーマーケティングは何が違う?
アンバサダーマーケティングとよく似た施策に、インフルエンサーマーケティングがありますが、影響範囲とその度合いに差があります。
インフルエンサーマーケティングはSNSでフォロワーが多く抱えているインフルエンサーに商品のPRしてもらう施策です。
アンバサダーマーケティングのように商品に強い思い入れがあるわけではありませんが、その影響範囲は広く、潜在層にもアプローチしやすい傾向があります。
一方でアンバサダーマーケティングは商品に強い信頼や愛着があるユーザーのため、インフルエンサーよりも熱量高くPRや口コミ拡散につなげてくれる特徴があります。
口コミが商品購買において非常に重要な要素となっている現在において、好意的な口コミが増えることは、新規・既存顧客の両方にいい影響を与えるのです。
アンバサダーマーケティングのメリット
アンバサダーマーケティングのメリットは以下の3点です。
- 自社商品のPR量を増やせる
- 自社商品のPRの質を高められる
- 自社商品のフィードバックをもらえる
自社商品のPR量を増やせる
1つ目は、アンバサダーマーケティングをすることでPR発信量を増やし、自社がアプローチできない層にも情報を届けることができるようになります。
アンバサダーマーケティングは自社商品・サービスのPR活動を継続的に発信してもらえるため、中長期的に好意的な評判を増やすことが可能です。
SNS上で口コミが拡散されたり、アンバサダーがオフラインでも情報拡散をしてくれたりすると、自社のPR活動ではアプローチできない層へも情報を届けられ、効率的にファンを増加させることにつながります。
自社商品のPRの質を高められる
2つ目のメリットは、広告感を少なくしながら自社商品のPRの質を高められることです。
公式の企業アカウントが自社商品やサービスの情報を発信すると、商品の押し売り・強い宣伝であると受け取られ、魅力が正しく伝わらないケースも。
しかしアンバサダーマーケティングは、あくまで一ユーザー目線で情報発信をしてくれ、広告感を出さずにPRできます。
健康食品ジャンルにおいては、広告よりも口コミのほうが商品購買の決め手になるというデータもあり、アンバサダーの口コミ拡散の重要性が見て取れます。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000038401.html
以上のことからも、ユーザー目線の口コミはPR情報として非常に質が高く、効果的なメリットであるといえるでしょう。
自社商品へのフィードバックをもらえる
アンバサダーマーケティングには、インフルエンサーから商品のフィードバックをもらいやすく、商品改良につなげやすいメリットがあります。
理由は以下3点になります。
- 商品に対する思い入れが強いため、真剣なフィードバックをもらえる(回答の質)
- 使用期間が長いため、本質的な意見が出やすい(回答の質)
- 積極的にアンケートに答えてくれるため、早い回答をもらえる(スピード感)
1点目は、「 商品に対する思い入れが強いため、真剣なフィードバックをもらえる」です。
商品を購入した人、広範囲を対象にアンケートを行った場合、熱量にばらつきがあり参考にならない場合があります。しかしアンバサダーを対象にしたアンケートでは、商品に対しての熱量と愛着が高いため、真剣に考えてフィードバックをもらうことができます。
2点目は、「使用期間が長いため、本質的な意見が出やすい」です。
商品の使用期間が長いため、ポジティブ/ネガティブ、さらに改善案などを本質的に回答してくれるため、効果的な商品改良に繋げることができます。
3点目は、「積極的にアンケートに答えてくれるため、早い回答をもらえる」です。
普段から商品を愛用しているアンバサダーはアンケートに積極的に回答してくれるため、早い回答をもらうことができます。フィードバックをもとに、早い段階で商品開発を進めることが可能です。
また、アンケート調査を向上させるための要因の1つは、「対象者を絞り込む」です。
アンバサダーに対象者を絞り込んでも回答率が高ければ、調査結果に信頼性が生まれるほか、実施する労力も節約できます。そのためアンバサダーのみの対象のアンケートを実施しても、効果的な商品開発に繋げられます。
参考:https://www.nttcoms.com/service/mobileweb/column/20211117/
アンバサダーマーケティングのデメリット
アンバサダーマーケティングのデメリットは以下の2点です。
- アンバサダーを見つけることに時間がかかる
- アンバサダーの熱量はコントロールできない
アンバサダーを見つけることに時間がかかる
1つ目のデメリットは自社商品を愛用しているファン、つまりアンバサダーとして最適な人を見つけることに工数がかかることです。
アンバサダーとして相応しい人は以下2点があげられます。
- 熱狂的なファンである人
- 自社イメージを損なうような要素がない人
まず、アンバサダーは熱狂的なファンでないと効果的なPR活動をすることができません。ユーザー視点から様々なアドバイスをもらうことが必要です。そのため、そもそもアンバサダー自身が商品に対する深い知識を持つような熱狂的なファンでなければ、アンバサダーとしての役目がありません。
次にアンバサダーの投稿内容などに、自社イメージを損なう内容がない人です。
自社商品のイメージと違うインフルエンサーに依頼してしまうことで、ユーザーにブランドのイメージの齟齬が生まれてしまう可能性があります。
よって上記の条件に当てはまる人を見つけるには象者の普段の投稿のイメージや雰囲気、投稿頻度を見ておく必要があるため、多くの工数がかかってしまうのです。
アンバサダーのコントロールができない
2つ目のデメリットは、アンバサダーのコントロールができない点です。
アンバサダーは、企業や商品サービスへの熱狂的な好意によって成り立っています。
もちろんキャンペーンやイベントを開催することで熱量を維持していくものの、時間の経過や何かしらのキッカケによって熱量が急に下がってしまう可能性もあります。
また、たとえサービスへの熱量が下がらなかったとしても、ブランド棄損につながるような不適切な発信をしてしまうことも。
アンバサダーにお任せする部分が多い分、コントロールしきれずに期待した効果が得られないこともあるため、注意が必要です。
アンバサダーマーケティングの事例紹介
実際にアンバサダーマーケティングを実施した企業の事例を4つご紹介します。
- ネスレ
- EPSON スマートキャンパス
- MUSE&Co.
- ハニーベイクドハム
ネスレ
ネスレでは、2012年9月よりオフィス向けに「ネスカフェアンバサダー」というアンバサダーマーケティングを実施し、2年強で約16万人のアンバサダーを集める成功事例を生み出しました。
ネスカフェ製品購入者の中で一定の条件を満たすと、ネスカフェバリスタ(コーヒーマシン)を無料で貸し出すというキャンペーンを実施。
アンバサダーは定期的にアンケートに回答したり、SNS上で写真や口コミを投稿するなどの役割を果たし、認知拡大や商品改良につなげます。
アンバサダーからすると、好きなコーヒーを安価に飲めるようになり、かつ同僚にもコーヒーマシン導入を感謝されるというメリットがあるため、爆発的な広がりを見せました。
企業側はオフィスでの導入が高速に進むだけでなく、「職場でバリスタを使って気に入ったため、自宅用にも購入した」というユーザーも増え、購買率がさらに上がるという副次的な効果もあったようです。
EPSON スマートキャンバス
EPSON は、抽選で選ばれた人にEPSON 「スマートキャンバス」をプレゼントするという内容のキャンペーンをInstagramで実施。
抽選で選ばれた人は、3ヶ月で3回以上の投稿をするという条件があり、キャンペーン実施により非常に効果的な反響がありました。
ユーザーが投稿した写真はEPSONの公式ホームページやSNSアカウントに掲載される可能性があり、インスタグラマー自身の認知拡大・PRにつなげられるというメリットを作り出しました。
MUSE&Co.
ファッションセールサイトMUSE&Co.はInstagramで、自社アカウントのタグづけをして期間内で投稿することという条件でアンバサダーを募集するキャンペーンを実施。
アンバサダーになることで、人気ブランドの展示会やイベントへの招待など嬉しい特典があることから、投稿総数650件以上の投稿が寄せられました。
この施策によりユーザーがMUSE&Co.という存在を知るきっかけになります。
加えて条件付きの施策を実施することで、熱量を持ったユーザーを見つけやすく、質の高いアンバサダーを起用できるきっかけにもなりました。
ハニーベイクド・ハム
ハニーベイクド・ハムは「ホームシェフ」としてアンバサダーを募集するキャンペーンを実施。
毎月2回、無料で提供された各種ハムを使用し、「#ハニーベイクドハム」というハッシュタグをつけてインスタグラムに投稿するという内容でした。
実際に、工夫された様々な料理が投稿され、商品名とともにユーザーアカウントの認知拡大に繋げることになりました。
またインスタグラマーを招いた試食会では、味だけでなくハムの背景や文化などを知る機会を創出。実施後はイベントでもらったハムを使った料理やイベントの様子が公開され、「ハニーベイクド・ハム」について、多くのユーザーが知る機会となりました。
アンバサダーマーケティングの始め方
アンバサダーマーケティングの始め方の手順は以下の4つのステップになります。
- アンバサダーを探す
- アンバサダーを選定する
- アンバサダーマーケティングの費用設定
- アンバサダーの熱量を高める
Step1アンバサダーを探す
アンバサダーを探す方法は2つあります。
- ブログやSNSを見て、自社商品を投稿しているユーザーを見つける
- 自社アカウントでの投稿や広告で、一般公募を行う
自社商品に対して熱量があるアンバサダーを見つけるために、ブランド名などをSNSやサイトで検索します。
自社商品に対してポジティブな投稿をしていたり、質の高い丁寧な商品紹介を投稿していたりするユーザーを複数人候補にあげます。
また、自社アカウントの投稿や広告の配信などで、一般公募を行う方法もあります。上記の事例で説明した、「MUSE&Co.」の事例が当てはまり、キャンペーンを通じてアンバサダーとして適切かどうかをユーザーの熱量を確かめながら、同時に自社の認知拡大にも繋げながら募集が可能です。
Step2アンバサダーを選定する
アンバサダーの候補を複数人あげたら、次に下記の項目と合わせながら選定していきます。
- アンバサダーへの活動意欲があるかどうか
- 自社商品への熱量はどのくらいか
上記でも紹介しているように、アンバサダーは企業と一緒に中長期間にわたり、商品のPR活動や商品に対するフィードバックを行います。
そのため、商品の魅力を定期的な投稿をするような積極性があるユーザーであるかどうかを確かめなければなりません。
また自社商品についての高い熱量がなければ、アンバサダーマーケティングは成立しません。
普段から投稿頻度や自社商品についてどの程度の知識で情報を発信しているのかをチェックすることで、活動意欲や熱量を確かめましょう。
Step3アンバサダーマーケティングの費用設定
アンバサダーが決定したら、アンバサダーへの報酬を決定します。
上記の事例でもご紹介したように、基本的にはプレゼントやサンプルの提供といったように報酬が発生しない場合が多いです。
しかしアンバサダーマーケティングは無料で行うことができますが、報酬を設定した方がアンバサダーに候補する人が集まりやすいです。
基本的には、「フォロワー数×企業が設定する単価」で決定することができます。
Step4アンバサダーの熱量を高める
アンバサダーマーケティングを開始したら、自社商品に対するアンバサダーの熱量が下がらないようにするのが企業としての役目です。
そのため、企業としてはアンバサダーの熱量を高め続けるために、キャンペーンやイベントなどを実施し、アンバサダーが情報発信できる機会を提供することが効果的です。
イベントで商品についての情報を発信をすることや他のアンバサダーからの影響により、熱量を高めるきっかけとなるでしょう。
また発信した情報を企業が活用することで、意見が取り入れられたことをアンバサダー自身が認識し、自社商品に対する積極的な行動をすることに繋がり、より効果的なフィードバックを受けることが可能です。
アンバサダーマーケティングをするべきか迷ったらiHackに相談
ここまで、アンバサダーマーケティングの概要を説明してきましたが、自社がアンバサダーマーケティングの実施が効果的なのかどうかをマーケティングに詳しい代理店に相談することをおすすめします。
iHackでは、TikTokやInstagramを中心にマーケティングの実施経験が豊富です。アンバサダーマーケティングやインフルエンサーマーケティングについて詳しく聞きたい方は、以下にお問合せください。
まとめ
この記事では、アンバサダーマーケティングの概要、メリット・デメリット、始め方などをご紹介しました。
SNSマーケティングにはさまざまな方法がありますが、自社でアンバサダーマーケティングの実施を検討している方はぜひこの記事を参考にしてください。